終わった世界と、現実世界と、夢の狭間で(第一章・第2話)





「・・・・さま??・・・・・・いさま??」

(ん・・・んん?・・)

「・・・・・様、起きて下さい。」

(眠い・・・誰だ??俺を起こそうするこの声は・・・)

「お兄様、お早く起きて下さい!お兄様、お願いですから早く目をお覚まし下さい」

(お兄様??だと・・・。誰??誰のことだ??まさか、俺か??)

ーーーージジジーーージジーーーーージジジッーーーーーージジーー

(なんだ?この妙な異音は??うう、頭に鈍い痛みが・・・)

「う、う~ん・・・ハッ!?」

深い眠りについていた男は突然勢いよくベッドから起き上がった。

女「ワッ!?ビックリしましたわ!お兄様、急にベッドから起き上がるなんて・・・」

幸村「あ、ああ悪かった。それよりも朝っぱらから何の用だ、花凛(かりん)。」

幸村のベッドの側にいたのは、幸村の妹である花凛。

現在18歳の幸村に対し、花凛は3歳年下の現在15歳。

身長160センチ程で華奢な体形で、髪はラフでやわらかいクセ感のロングヘア毛先であり、髪色は透明感漂うプラチナグレーの美しい女性であった。

花凛「お兄様がお時間になっても、起床されていませんでしたので起こしに来たのですよ」

幸村「別にわざわざ起こしに来る必要はないだろう。俺は子供ではないのだ、自分で起きれる。妹に起こされるなんて恥ずかしいわ!」

花凛は少し頬っぺたを含まらせて、ムッとした表情で幸村を睨む。

だが、直ぐに「ハァ~」と軽くため息をついてから会話を続けた。

花凛「それは申し訳ありませんでした!!でもでも、本日は当家に対し王城から大切な招集がかかっておりますことは当然ご存じのはずですよね??引退した父上に代わり、現在当家の当主であるお兄様が王城への招集に対し遅刻なんてされたら当家の恥ですわ。」

幸村「ヤレヤレ。そう怒るな、花凛よ!悪かったよ、俺が寝過ごさないようにしっかりと起こしてくれたんだよな。」

花凛「別に怒ってなんていませんわ。でもでも、少しだけ・・・・ほんの少しだけ、お兄様の言動に反論してみただけですわ。」

幸村「ハァ~、結局少しは怒ってたってことに変わりないだろ?」

花凛「いえ、少しも怒っていませんわ!」

昔から花凛にはどこか頑固ジジイのようなところがあったなと、幸村は思い出していた。これ以上、妹と口論をしても仕方ないと思った幸村は、ベッドから立ち上がって花凛の頭を軽く撫でた。

花凛「お、お兄様、花凛は子供ではありませんよ!!」

兄の幸村に頭を撫でられて口では嫌がる妹の花凛だが、内心では嫌な気分ではないようだ。

少しデレていた花凛だったが、直ぐに真面目な顔つきに戻り、兄に話しを続けた。

花凛「お兄様、お時間があまりありません。お早くお着換えをして王城へとお急ぎ下さい。お着換えはそこにご用意しております。外に馬車を待機させておりますので、お着換えがお済になりましたら、直ぐに外の馬車で王城へお急ぎ下さい。」

幸村「ヤレヤレ、こっちは起きたばっかりだというのに。それよりも、花凛。」

花凛「はい??なんでしょうか、お兄様。」

幸村「今日の朝食は何??」

花凛「寝坊したお兄様には朝食なんてありません!!すぐに着替えて、早く王城へ行って下さい!!」

花凛はやや強めの口調でそう言うと、幸村に背を向けて幸村の寝室から足早に出ていった。その後ろ姿からは少しだけ兄に対して怒りの感情がにじみ出ていたことは言うまでもない。

花凛が寝室から出てから、幸村は部屋の洗面台で顔を洗い、その後に花凛が用意してくれた王城行きの為の正装へと着替え始めた。

幸村が正装へと着替えている時に、一旦着替える手を止めて、寝ていた時に見た夢のことを思い出して幸村は独り言でつぶやく。

幸村「そういえば、なんだが不思議な夢を見ていたような気がする・・・。どんな夢かは思い出せないが、何かこう非現実的な世界での・・・」

幸村は朧げに何か非現実的な内容の夢だということまでしか思い出せそうになかったので、考えることを止めて、着替えを続けた。

幸村は正装へと着替え終わると、今いる3階の幸村の部屋から1階まで下りていった。

幸村は3階建ての屋敷の1階に降りていき、1階からは玄関先まで続く広い廊下を進んでいくと、玄関先付近にてメイド服を着た3人の女性達が幸村の方向を向きながら、幸村が来るまでその場で待機しているようだった。

幸村がメイド達のいる側まで歩いていくと、3人のメイド達の中の真ん中に位置した1番背の高い黒いセミロングの女性が幸村の姿を見るなり、軽くお辞儀をした。続いて、両隣にいる双子の黒髪ショートカットの似合う背の低い2人のメイド達も続けて軽くお辞儀をする。

女「おはようございます!幸村様。もうお時間がありませんので、外の馬車までお急ぎ下さい。」

幸村「おはよう、ライム。双子の妹、マイとレイもおはよう!」

マイ「おはようございますのん、幸村様。」

レイ「おはようございますのん、幸村様。」

幸村は歩きながらメイド達3人の少女にそれぞれ挨拶をすると、メイド達3人は一旦顔を上げて幸村に道を開けるように通路中央から端に下がってから、再び今度は深々くお辞儀をしていた。

思い出したように幸村は玄関先の扉前で一度立ち止まり、後ろを振り向きメイド達に声をかけた。

幸村「そうだ、父上と母上は帰宅済みか??」

メイド3姉妹の中で1番年上のメイドリーダーのライムが幸村の問いに答えた。

ライム「いえ、まだお屋敷には戻られてはおりません。ただ、本日の夕刻にはお戻りになられると聞いております。」

幸村「そうか・・・まだ帰宅していないか。分かった、ありがとう、ライム。」

ライム「いえ、とんでもありません。」

それを聞いた幸村が背を向き直して屋敷の玄関扉を開けると、メイド3姉妹の「いってらっしゃいませ、幸村様。」という声が聞こえてきた。

幸村は背を向けたまま「行ってくる」と声には出さず、その返事として右手で「行ってくる」というニュアンスの仕草を左右に右手を振りながら行い、玄関扉を開けて屋敷の外へと出ていった。

屋敷の外に出ると、そこは500坪はあるだろうと思われる敷地が広がっていた。

広い敷地内には綺麗に手入れされた木々や花壇、噴水場等があり自然の美しさが堪能できるぐらいの敷地が幸村の目の前に広がっていた。

そして、屋敷を出たすぐ目の前には人が4人程乗れるであろう馬車と、その馬車を操縦するであろう黒いハットの帽子を被った男性の御者(ぎょしゃ)が1人立っていた。

御者「おはようございます、幸村様。この度、幸村様を王宮まで音とお届けさせて頂きます、御者のデルゾでございます。」

幸村「おはよう、今日はよろしく頼む。」

デルゾ「こちらこそよろしくお願い致します。それでは、早速出発させて頂きますので、どうぞお乗り下さいませ」

デルゾは馬車の扉を開けると、すぐさま幸村は馬車へと乗り込んだ。

幸村が乗ったことを確認してから、デルゾは馬車の扉を閉めてから馬車を引っ張る2頭の黒い馬達の手綱を握った。

デルゾ「それでは、王宮へ向けて出発致します。」

そしてデルゾが手綱を動かして、馬車はゆっくりと動き出した。

馬車が幸村が住む屋敷敷地内から出ると、幸村は馬車の窓から見える外の街の光景を眺めながら小さく呟いた。

幸村「白か?はたまた黒か??果たして、当家はどちらに運命を委ねるべきなのか?」

赤い屋根で統一されている歴史感ある近代的な街並み、活気ある商店街通りで買い物をする為に街を行きかう人間の人々と、獣の姿をした人、つまりは獣人。

幸村はそれらの人々達をよそ目に、幸村を乗せた馬車は、馬車専用の片側1車線の道路を通りながら王宮へ向けて進行していたのであった・・・。

そう、ここは現代とは異なる世界。

一部近代的ではあるが、ここは紛れもなく異世界。

学園生活していた現代の幸村と、異世界の幸村は同一人物なのか??

そして幸村が口にした、白と黒とは一体なんなのだろうか??

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